別れは突然に

11月半ば、母が亡くなりました。

私は母とは性格も生き方も似ていて、仲が良いというより同志のような、師弟のような、そんな部分を多く持っていた関係でした。いつかはいなくなると解っていたけれど、それをまだ直視出来ず、まだいなくなったら困ると漠然と思いながら暮らしていました。

そんな時、母は突然逝ってしまいました。

本当に突然。朝5時には起きて洗濯を済ませているはずの母が起きてこないのを訝った姉が、布団の中ですでに冷たくなっている母を見つけるというお別れです。

姉からの取り乱した電話を、私は多分一生忘れないと思います。

その日の夜中2時には、ソファーで寝ていた姪に部屋で寝るように叱ったそうで、亡くなったのが4時くらいらしいので、本当に寝付いたそのまま心臓が止って逝ってしまったのだそうです。こんな別れが現実にあるのですね。

 

 

昨年暮れ、母は自分で胸のしこりに気がつき、乳がんであることを告げられました。でも本当に初期で小さな病巣だったため、高齢であることもあり、医者は放射線だけでいいような見立てだったのですが、母はガンとして「全摘」を希望して手術をしています。つまりその時はまだまだ生きる気満々だったんです。春には一応の治療を終え、日間賀島へみんなで河豚を食べに行きました。その時も海岸を歩きながら「まだ死んだらいかん、とりあえずまだ5年は生きてね、娘のためにも(おばあちゃん子なので)私もためにもだよ」なんて笑いながら話したんですが、その時もせっかく手術したんだからまだまだって感じで、本当に元気そうだったのに。

なのに、母はあれから1年も生きててはくれませんでした。

 

 

 

夏ごろから、会う度に「私はもうあまり長くないと思う。だから覚悟はしておきんよ」と言う様になりました。なぜそんな事を?と問えば、毎回「なんとなく、そんな気がする。私は○○ちゃん達(母の3人の姉妹)と比べて元気がない。もう長くないからだと思う」と別に悲しそうでもなく、普通の会話として話すのです。「遣り残したこともないし心残りもない。だから死ぬ時は死なせてくれればいい。延命とかいらないから、覚えておいて」

このくらいの歳になればこんなものなのかな、くらいに思ってあまり気にしてませんでした。どこも悪かった訳ではないですが食欲がない、あまり食べられないと言うので、頻繁に外食へ誘えば、それなりに楽しく食事も出来たので、全く心配もしていませんでした。

なのに、突然いなくなってしまいました。

 

 

まだ全然立ち直れていなくて、忘年会も会食も欠席状態。

普通に生活して仕事もしているけど、ボーナスが出ても恒例の母との食事会が出来ない事に落ち込んでいます。

思えば、大事な友人も突然に逝ってしまいました。

友人、母。次は誰なんだろう。

そう思ったとき、次は自分なのかもしれない、と気が付きました。

何気なく日々を過ごしてしまうけど、人生はいつまでも続くわけじゃない。子供達が自分がいなくなっても大丈夫なようにしておかないといけないんだなと今更ながらに教えて貰ったような気がします。

私にはもう親がいないのだ。

その不安を克服して皆生きているのですね。

頑張らないと。

また楽しい記事が書けるようになるといいな。